思い通りにならない子供相手の毎日

小児科に勤める看護師が日々感じることを徒然なるままに書き記します
病院は、色々な方が利用する場所、特に私が務める総合病院では、新生児の0歳からおじいちゃんおばあちゃんの100歳を超える方もいらっしゃいます。

私は、病棟、透析室、手術室など色々と経験して現在、小児科で勤務をしています。
小児科は、今まで居た部署と決定的に違うのは、思い通りにならないという事です。
大人であれば「我慢」と言う言葉が分かるのですが、子供たちはそんな事はお構いなしで、痛ければ痛いと言い、苦しければ苦しいと騒ぎます。良い点としては、早期に異常に気づけるのですが、反面、痛い、苦しいの基準が曖昧なため、さほどひどくない状態でも騒ぎますし、保護者としては、自分のことではない分、必死になる「親心」も分かります。

ある時、お腹の調子が悪いという事で診察に来られた4歳の男の子に医師が、まずは検査しましょうと、採血などの検査項目についてお母さんに説明をしていたのですが、
「お腹の中も見て見ましょう。」
と言われてから、男の子が目に見えて怯え出し、お母さんにしがみついてしまいました。
そうなると採血も出来なくなる為、安心させる為に色々と話をしたのですが、途中から
「お腹切らないで、痛いの嫌だ!」
と泣き叫び出してしまいました。

医師もお母さんも最初は呆けてしまったのですが、だんだんと状況が呑み込めてきたので、お母さんも含めて「超音波検査」について説明をしました。
お母さんもわが子が「お腹の中を見ましょう。」と言って、まさか、「開腹手術」まで連想するとは思っていなかった様でちょっと恥ずかしそうにされていました。
男の子は、注射も嫌いらしく腕に針を刺すものあんなに痛いのに、ハサミ(お腹を切るのがハサミと考えるところもカワイイです)でお腹を切ったら絶対に死んじゃうと思ったそうです。
その後は、普通に検査をしましたが、採血の注射もしっかりと泣かずに我慢していたので、本当にいい子だったのですが、どうしても泣き叫んでいた男の子と同一人物とは思えず、医師とも話をしてそれからは、どんな検査をするのか、決して痛くない(痛い場合もありますが)ことを先に話してから治療について話をしましょうという事になりました。

お子さんの場合、回復力も高いので本当にこの間まで病気だったのが信じられないほど、みな元気になってくれるのでやりがいもあります。
但し、元気すぎる待合室の子供たちにはほとほと手を焼かされますが。

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