小児科に勤める看護師が、子供たち、医師、病棟クラーク、緊急搬送など、、日々体験する出来事をつづっています

小児科に勤める看護師が日々感じることを徒然なるままに書き記します
3歳の男の子がインフルエンザの予防接種を受けに来院した時のことです。注射することを嫌がっており、待合室で待っているときには大変泣き叫んで逃げようとしていました。診察室にも嫌がって入ろうとしないのでお母さんも困っていたのですが、看護師が
「注射をしなかったらバイキンマンが身体に入っちゃうんだよ?!私がバイキンマンだよ?!」
と男の子と戦いごっこのようなことを始めました。バイキンマンの役を演じながら男の子の身体をガッシリと掴み、注射を無事に終えました。男の子は注射した後は
「どうだ!バイキンマン!参ったか!」
となかなかの上機嫌でした。幼児なのでインフルエンザの予防接種は2回あるのですが、次月その子が来院したときは戦隊モノの剣を持参しており
「バイキンマン!かかってこい!」
と勇敢な姿を見せてくれ、またバイキンマン役の看護師にガッシリ捕まえられ注射を打っていました。
また体中に発疹が出たことで来院した7歳の男の子は、「お腹を見せてね」と看護師が言ってシャツをまくると、バラバラ?っと大量の砂がどこからか出てきてしまい、
「ズボンも少し下げさせてね」
と次にズボンを降ろすと、更に大量の砂が散らばり、もう医師も含めてみんな笑ってしまいました。お母さんは謝罪をしながら砂をかき集めていましたが、体調を崩しているわけではないので今まで外で遊んできたようですが、なぜあれほどの砂が出てくるのかと不思議でした。男の子は
「サッカーやっていたから・・」
と恥ずかしそうに言っていましたが、世の男の子のお母さんは大変だなあと思いました。
次から、やんちゃそうな男の子の診察時にはタオルを下に敷こうかと医師とも話しましたが、「何より外で元気に遊べれば良いよね」と笑い合いました。

2歳の女の子が発熱で来院した際、ちょうどイヤイヤ期なのか何をしても
「イヤ!」
と言って聞かず、
「お熱測ろうねー」「イヤ!」
「お口あーんして」「イヤ!」
の繰り返しだったので、ほとほと困っていました。そこで、若い男性看護師を呼んで来て代わってもらうと、みるみるおとなしくなり、「〇〇ちゃん(自分の名前)、やってあげてもいーよ」
と自ら体温計を脇にはさみ、真っ赤なほっぺたを更に赤くして大きなお目目でお利口に男性看護師の言うことを聞いてくれて、その様子が本当に可愛らしく、お母さんも抱っこをしながらくすくす笑っており、とても微笑ましい光景でした。しっかりお口もあーんと開けて医師に見せており、その際も男性看護師をちらっと見たりして、そのおしゃまな姿に診察室全体が温かい雰囲気になり、いつもは仏頂面の医師まで優しい表情になっていました。

子供たちが大好きなアンパンマン 病院は、色々な方が利用する場所、特に私が務める総合病院では、新生児の0歳からおじいちゃんおばあちゃんの100歳を超える方もいらっしゃいます。

私は、病棟、透析室、手術室など色々と経験して現在、小児科で勤務をしています。
小児科は、今まで居た部署と決定的に違うのは、思い通りにならないという事です。
大人であれば「我慢」と言う言葉が分かるのですが、子供たちはそんな事はお構いなしで、痛ければ痛いと言い、苦しければ苦しいと騒ぎます。良い点としては、早期に異常に気づけるのですが、反面、痛い、苦しいの基準が曖昧なため、さほどひどくない状態でも騒ぎますし、保護者としては、自分のことではない分、必死になる「親心」も分かります。

ある時、お腹の調子が悪いという事で診察に来られた4歳の男の子に医師が、まずは検査しましょうと、採血などの検査項目についてお母さんに説明をしていたのですが、
「お腹の中も見て見ましょう。」
と言われてから、男の子が目に見えて怯え出し、お母さんにしがみついてしまいました。
そうなると採血も出来なくなる為、安心させる為に色々と話をしたのですが、途中から
「お腹切らないで、痛いの嫌だ!」
と泣き叫び出してしまいました。

医師もお母さんも最初は呆けてしまったのですが、だんだんと状況が呑み込めてきたので、お母さんも含めて「超音波検査」について説明をしました。
お母さんもわが子が「お腹の中を見ましょう。」と言って、まさか、「開腹手術」まで連想するとは思っていなかった様でちょっと恥ずかしそうにされていました。
男の子は、注射も嫌いらしく腕に針を刺すものあんなに痛いのに、ハサミ(お腹を切るのがハサミと考えるところもカワイイです)でお腹を切ったら絶対に死んじゃうと思ったそうです。
その後は、普通に検査をしましたが、採血の注射もしっかりと泣かずに我慢していたので、本当にいい子だったのですが、どうしても泣き叫んでいた男の子と同一人物とは思えず、医師とも話をしてそれからは、どんな検査をするのか、決して痛くない(痛い場合もありますが)ことを先に話してから治療について話をしましょうという事になりました。

お子さんの場合、回復力も高いので本当にこの間まで病気だったのが信じられないほど、みな元気になってくれるのでやりがいもあります。
但し、元気すぎる待合室の子供たちにはほとほと手を焼かされますが。

小児科にくる子供たち  
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